はじめに
2018年夏にXT660Zテネレで走った北海道の記録。
だいぶ時間が空いたが、以下の記事で8年越しに九州ツーリングの記事を書いたことで「もうこれなんでも書けるな」と思って書き始めた。
旅程
全体の走行ルートはこのような具合。(立ち寄った場所をあとからグーグルマップでルート検索して繋いだものなので、細かいルートは実際と違う可能性がある。)日程の都合上、渡島半島(函館方面)は諦めた。また、こうやって見ると、オホーツク海沿いの道はあまり走っていない。
0日目
大人1人(コンフォート)、二輪自動車 (400cc超・750cc以下)1台の運賃合わせて ¥29,510
フェリーの上ではルートを再確認したり、船内ではサッポロクラシックが買えるので一足先に北海道気分を味わってみたり。
1日目
苫小牧港に到着。札幌へ。
苫小牧港には13:30に到着するので、到着したその日に走れるのは半日程度になる。
フェリーの中で知り合ったライダーとともに北上。途中、羊蹄山を眺めようと思ったが雲がかかっていて見られずじまい。予期せず、こんな未舗装路を走る場面も。
毛無山展望台に寄り道して、小樽を抜けて札幌入り。途中、少しだけ雨に降られた。insta360(360度カメラ)の防水対策をしていなかったので、危なく初日で壊してしまうところだった。
自分ひとりではなかったので写真撮影のために立ち止まるタイミングがなかなかつかみにくかったのと、雨が降ってきたことから、道中の写真はほとんどない。
この日は駅北ハウスというライダーハウスに宿泊した。
夕食は狸小路商店街の居酒屋で。
2日目
札幌から北上
ライダーハウスを発ち、オロロンラインを北上する。
昼食は北海道っぽいものを、と思いちょっと奮発して甘海老丼を。
道中の雄冬岬という眺望スポットや、波灯の女と呼ばれる灯台などもツーリングマップルに載っていたので立ち寄ってはみたが、特に後者はちょっと期待はずれか。期待はずれというよりは、脇にあるちょっとした直線道路が野生のエサヌカ線みたいなレベルなのが北海道なので、嫌でも目が肥えてしまい、よっぽどの景色やスポットで無い限りは感動も薄くなってしまう。(九州ツーリングのときに、初日に走った阿蘇が良すぎて以降の日程の感動が薄れた感じに似ている。)
(野生のエサヌカ線の例)
その後、グリーンヒルウィンドパークへ。広大な草原に並ぶ風車の向こうに海が広がる光景は圧巻。途中から未舗装路になるので注意。
さらに北上して、言わずと知れたオトンルイ風力発電所横を通り過ぎる。いい感じに望遠で圧縮できそうなところから写真を撮影。ちなみにこのツーリングに持っていったカメラは PENTAX K-3、レンズは便利ズームの18-135WR。どちらも防塵防滴仕様で気を使わなくていいので、走行中はたすき掛けにしっぱなし。ツーリングには使いやすい。便利ズームはこんなときに遊んだりもできる。
そういえば、同じフェリーで上陸したスーパーテネレのライダーに、道中で偶然出会った。さらにその次の日も出会ったし、同じフェリーで上陸したライダー同士で行き先や時間が被るのは、あるあるなのかもしれない。
泊地へ
そしてこの日の泊地である兜沼公園キャンプ場へ。途中で調達しておいた食材で夕食をこしらえる。トップケースをバイクから取り外して地面に置き、さらに蓋を外して裏返し、その上に木の板を引くことでテーブルとした。
このツーリングはキャンプ泊にも対応するためキャンプ道具を積載してきたが、結局、キャンプをしたのはこの日だけとなった。というのは、8月の終わりの北海道の夜は想像以上に寒く、この日の一泊で懲りてしまったため。恥ずかしながら、3年前の佐渡ヶ島ツーリングと同じようなことを繰り返してしまっている。
3日目
最北端へ
兜沼公園キャンプ場を発ち、一部で人気の北防波堤ドームへ向かう。残念ながら工事中のようで、中に入ることはできなかった。
その後、宗谷丘陵の白い貝殻の道へ向かう。少し入り口がわかりにくかったが無事到着。その名の通りの白い道であり、いかにも写真映えするので、ライダーも多かった。
白い道を抜けて、そのまま宗谷丘陵へ。
笹の原っぱの向こうに風車が立ち並び、少し目線を変えるとそちらには海が広がっている。いかにも果てらしい雰囲気があり、このツーリングの中で一番感動したスポットと言えるかも知れない。ただ、何を隠そう私は北海道出身なので、この気持ちには多分に郷愁が含まれているものとも思う。
宗谷丘陵を下って宗谷岬へ。
実は宗谷岬には、学生時代にも一度バイクで来ているのだが、下調べが不十分だったせいで宗谷丘陵は走っていなかった。あの眺めをみすみす見逃していたと思うと... 下調べは大事である。
学生時代当時の写真を発掘できたので、記念に載せておく。気恥ずかしさから、最北端の碑の前にバイクを移動して写真を撮る、ということができないのは今も昔も変わらない。
最北端の店でラーメンを食べる。
通称エサヌカ線へ
その後、言わずと知れたエサヌカ線へ。道の先が陽炎となって空と一体化するような、いかにも北海道らしい道である。
繰り返しになるが、私は北海道出身なので直線道路には耐性があると自負しているが、それでもエサヌカ線レベルになるとやはりすごいなと思わずにはいられない。
振り返ってみると、この日がこのツーリングのピークであったと思う。
その後は、いくつか秘境駅と呼ばれる駅や、田んぼアートなどを見つつ南下した。
このような広大な畑(ソバ?)の合間の道を走ったりもした。
この日は前日のキャンプ泊の寒さに懲りて、旭川市内のホテルに一泊。
ツーリング途中に唐揚げ定食が食べたくなるのは、いつも変わらない。
4日目
出発準備
ホテルで朝食を。ホテル泊は快適だ、という当たり前の事実を再確認する。キャンプツーリングにはキャンプツーリングの楽しさがあるが、そのツーリングにおいて何にフォーカスするかを明確にしないと、走ることも、キャンプすることも、どちらも中途半端になりかねない。
東へ
旭川周辺の観光スポットを見つつ、東側へ移動する。まず向かったのは就実の丘と呼ばれる眺望スポット。
この日はパッとしない天気で、あまり写真も映えない。
美瑛の青い池。こういうふつうの観光スポットにも立ち寄ってみるが、こういうところは一般の観光客も多いので、おっさんライダー一人では気後れすることもある。
その後は「ジェットコースターの道」や「パノラマロード」といった、エサヌカ線のような直線道路とはまた異なる、起伏がありながらも遠くまで続いていくタイプの直線道路をいくつか見て回った。
これはパノラマロード。
ただ、こういった道の中でいちばん良かったのは、この次の日に見た「天に続く道」だった。
おっさんライダー一人では気後れする、などといいつつ、こんな洒落っ気のある店に一人で入ってランチを食べたりしたので、ツーリング先のテンションはよくわからない。
ツーリング的な盛り上がりはあまりないまま、網走市内へ。心はすっかりホテル泊一色となってしまい、この日もホテル泊とした。
ホテルから歩いて、オホーツクビアファクトリーで夕食とする。
5日目
雨の一日
残念ながらこの日は雨の一日となった。雨具を着込み、まずはサロマ湖を目指す。
先述した「天に続く道」はこちら。単純に直線部分が長いのと、その名の通り、道の先が天に続いているように見えるのが、他の同じような道に比べて写真映えの点で勝っているところか。(もしかすると「北19号」も負けず劣らず良かったのかも知れないが、後述するとおり、開陽台ともどもスルーしてしまった。)
こういう道の写真を撮るときにも、望遠レンズは役に立つ。
その後、絶景で知られる知床横断道路を走るが、雨と霧で視界が悪く、残念ながら何も見えなかった。
天気が悪いと自動的に写真も少なくなるし、立ち寄ろうとしていた眺望スポットも「見てもしょうがないか」という気持ちになりスルーしてしまうことがある。実際、この日は360度パノラマで知られる開陽台に立ち寄ろうとしていたが、天気が悪かったのでスルーしてしまった。
悪天候でヘロヘロになりながら、なんとか昼食を。雨具を脱ぐのが(そしてまた着込むのが)面倒、というどうしようもない理由で昼食を摂るのも億劫になってしまう。
その後立ち寄った野付半島のあたりの写真はほぼなく、最東端である納沙布岬で申し訳程度に撮影した写真が残っているくらい。ここまで来ると、天気は少し良くなった。
この日は根室市内に宿をとった。(テレビの前に膝プロテクターを並べて置いてあるのが、自分でもよくわからない)
6日目
西へ
最東端の地根室から出発し、西へと移動する。
この日も天気は芳しくなく、これまた絶景で知られる北太平洋シーサイドラインもこの有様。
西に進むにつれて、少しずつ天候は回復。海沿いの道を走り続け、浜中町にあるなぎさのドライブウェイという、砂浜を走れることのできる道に出る。ところで、石川県の千里浜にある同じような道も同じような名前(千里浜なぎさドライブウェイ)なのは、なにか関係(元ネタ?)があるのだろうか。
写真を撮るためにバイクから離れると、みるみるうちにサイドスタンドが砂にめり込み、車体が傾いていった。サイドスタンドパッド代わりになるものを探したところ、なぜか捨てずに取っておいた缶コーヒーの空き缶がその役目を果たしてくれた。いやはや、旅先では何が役に立つかわからないものである。
ちなみに写真中のケースに束ねて固定してあるM字のパーツは、コットの脚である。
その後、晴れ間が差してくるくらいに天候が回復してきたのでアゼチの岬に寄ったが、あいにくの霧で何も見えなかった。霧がなければ、かなり見晴らしの良さそうな場所だったので残念。
セイコーマートの駐車場で一服する。トップケースがテーブル代わり。トップケースといえば、テネレはキャリア部分がフレームと一体となった頑丈なつくりなので、重い荷物を載せても安心感がある。こういう地味な安心感が快適なツーリングにつながると思う。(華奢な社外品キャリアの強度にビクビクしながらツーリングする、みたいなことは避けたい)
釧路に入ったあたりから、天気は少しずつ良くなってくる。釧路は私の出身地(厳密には違うが、広義には)なので、懐かしい気持ちに浸りながら走る。
途中、なごやか亭(回転寿司)で昼食を摂り、釧路湿原へ向かう。回転寿司でも相当に美味いのが北海道クォリティ。
そういえば、この日の道中でテネレの走行距離が30,000kmに到達したので、記念に一枚。
釧路湿原の細岡展望台に寄り、その後釧路湿原道路を走る。まぁ、よくある直線道路である。路面の状態が悪いのがなんとも言えず悲しい。
この日は実家に泊まる。
7日目
北海道ツーリングも、この日を含めて残り2日となった。翌日の夕方には帰りのフェリーに乗るので、丸一日走ることができるのはこの日が最後になる。
雨だった二日間を挟んで、この日からはまた天気に恵まれた。
襟裳岬へ
この日の最終目的地である襟裳岬へ向かい、西へ進む。下調べが足りなかったせいか、このルートではあまり見るべきところを見つけられなかったため、少々弾丸気味に先へ進む。
途中、幸福駅に立ち寄る。海外(中国?)からの観光客が多いようだ。
その後、黄金道路を走って襟裳岬へ。多額の建設費を費やしたことからこのような名前がついているらしいが、走ってみれば、北海道基準で考えれば「ふつう」な道だ。
途中、寒くなってきたのでインナーダウンを着込む。このインナーダウンは、宗谷岬へ向かう途中のホームセンターで購入したもの。8月の終わりの北海道は、こんなに寒かっただろうか?
襟裳岬には、ちょうど夕日が海に沈む絶好のタイミングで到着できた。
この日は襟裳岬にある宿に泊まる。これまでのツーリングの経験から「先端には飲食店はない」という教訓を得ているため、夕食・朝食付きの宿を選ぶ。
8日目
最終日
ツーリングも最終日。
朝食時に、食堂に備え付けてある望遠鏡から野生のアザラシを見ることができた。わかりにくいが、岩の上にいくつか転がっているテカテカした球みたいなものが、それだ。
この日は襟裳岬の宿を発ち、フェリーの出る苫小牧港へ向かう。
途中、ツーリングマップルに掲載されていたエンルム岬というところへ立ち寄る。この日もあまり見るべきところがなかったので、フェリーまでの時間つぶし程度に寄ったのだが、想像していたよりははるかに良い眺めだった。
天馬街道を通りつつ昼食。
フェリーに遅れると一大事なので、この日の走行ルートはかなり余裕を持って設定しているが、ちょっと余裕がありすぎた。ツーリング中に時間をつぶすというのは結構難しく、結局かなり時間に余裕がある状態で苫小牧に到着してしまう。完全に時間を持て余し、時間調整のために支笏湖まで走ってみるが、支笏湖は完全に「観光者向け」であり、おっさんライダーにはちょっと肩身が狭く感じられた。
時間を持て余したおっさんライダーのブーツに止まるトンボ
頃合いを見て、苫小牧港まで戻る。苫小牧港は18:45発。行きと同じく船室の等級はコンフォート。料金は、行きよりも少し安い¥27,550だった。
出港の時間を迎え、フェリーが岸壁から離れていく。これで、北海道ツーリングも終わりだ。
おわりに
「はじめに」に書いたとおり、3年ぶりに北海道ツーリングの記録を書いた。当時の写真と動画が残っていることもあり、案外すんなりと書くことができたようにも思えたが、それは思い違いかもしれない。なぜかというと、この記録の実態は「写真や動画をもとに思い出して書いた」ものであり、そもそも写真や動画に残せていなかった部分については、ほとんど書き表せていないと思うからだ。
そう考えると、写真や動画を残しておくのは大事だと思うし、何より、リアルタイムに記録を残しておくのがより大事だと思う。
番外編:ヤエー集
追い越し際に。
オロロンラインで。
宗谷丘陵で。
襟裳岬へ向かう道で。
苫小牧港までの道で。